レントゲンで何がわかるの?
歯科医院を受診した際、レントゲン写真の撮影を経験したことがあると思います。
初診時から期間があいた場合や治療内容により、再撮影をした方もいると思います。
そんな時の患者さんの心情としては、
「本当に必要なの?出費が増えるなー」
なんて思うことがあるかもしれません。
そこで今回は、
レントゲンの中でもパノラマレントゲン写真を撮影することでわかることと、必要性についてお話したいと思います🦷
●歯科でお馴染み、パノラマレントゲン写真とは
「パノラマ=広い眺望」という英語の意味でもあるように、
広い範囲を撮影することが可能です。
すべての歯を中心に上下の顎の骨や、顎関節、上顎洞(鼻の横辺り)など、顎全体を一度に撮影、検査することが可能です。
エックス線と呼ばれる放射線を使って撮影されます。
放射線と聞くとマイナスなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、
東京とニューヨーク間を飛行機で往復移動すると、高度による宇宙線の増加により被爆する放射線の量は0.2ミリシーベルト程度といわれています。
そして、歯科医院のパノラマレントゲン写真で使用する放射線の量は、0.03ミリシーベルトです。
飛行機でニューヨークに行って帰ってくる際の6分の1程度なのです。
放射線は地球上に自然に存在していますが、パノラマレントゲン撮影時の被曝は短時間でごくわずかな量なので安心してください。
●白く写るところと、黒く写るところ
お口の中の疾患は、直接目で見ることのできない部分に生じていることが多いです。
歯の中や、歯と歯の間、詰め物や被せ物の中、歯茎の下の骨などです。
レントゲン写真では、以下のようなものが白く写ります。
・歯牙
・骨
・薬剤や金属などの人工物
以下のようなものは黒く写ります。
・虫歯で溶けている箇所
・歯周病で骨が減っている部分
・歯の中の歯髄とよばれる神経がある管
・神経や血管が骨の中を通っている管
このように、お口全体を撮影するパノラマレントゲン写真は外から見ただけでは確認できない情報を豊富に写しだしてくれます。
それを確認せずに治療を進めることは危ないのです。
●レントゲンで何を見ているのか
①虫歯の進行具合
目視で虫歯を確認した場合、その範囲はどれくらいなのか。
大きさによっては歯髄や骨まで達していることもあり、事前に確認せずに虫歯を削り始めることには危険が伴います。
また、歯と歯の間など表面から目視しただけでは判断しづらい箇所に本当に虫歯があるかどうかの判断にもレントゲン写真を用います。
②根管治療の予後
根管治療(歯の神経の治療)後は病気が再発している事も多くあり、病巣の有無を確認します。
③歯周病の進行状況
歯周病は歯槽骨(顎の骨)が炎症により減ってしまう病気です。
どの程度吸収しているかを確認し、歯周病の進行具合を確認します。
④永久歯の生え変わり期の確認
乳歯が抜けたのに永久歯がなかなか生えてこない、永久歯が生えてきているのに乳歯が抜ける気配がない等、気になる時に確認します。
先天的に永久歯が欠如していたり、過剰歯という余分な歯が埋まっていて生え変わりを阻害していることがあり、その場合は治療が必要になることがあります。
⑤親知らずの状態
親知らずの生えてくる方向や、周りの歯への影響の有無、または抜歯する際のリスクの有無を確認します。
●レントゲンを定期的に撮影する理由
目視では大丈夫そうにみえても、
じつは詰め物や被せ物の下で虫歯が進行していたり、
根管治療後に病気が再発している、
一部で歯周病が拡大しているなんてこともあります。
症状もない場合、これらの病変を見つけるにはレントゲンで得られる情報が重要です。
ずっとかかりつけの病院で定期検診で表面から見ただけの判断で「病変がありません」と言われていたのに、
うちで初診時にレントゲンを確認したら「これは重度歯周病です」なんてことが結構あるのです。
そうなってしまっては勿体ないですし、とても残念なことです。
必要な場合は半年程で撮影することもありますが、長くても一年に一回はレントゲン撮影をして病変を見逃さないようにしたいものです。
せっかく診察を受けるなら、
病気があるならしっかり発見、診断しないと適切な治療が受けられないですからね。