中高生の虫歯は進行が早い〜幼若永久歯〜
小学生のお子さんは保護者の方と虫歯検診に来てくれることが多いです。
歯の生え変わりが気になったり、歯ならびが気になったりする時期ですからね。
じつは、すべて大人の歯に生え変わった後の中学生以降のお子さんにも定期検診が大切なのです。
最後に生えてくる大人の歯は7番、第二大臼歯と呼ばれ、
12歳くらいに生えてきます。
生えてきた後の数年間、永久歯はまだ未完成で、
虫歯に対する抵抗力が弱いため虫歯になりやすく、
なってしまった後の進行も早いのです。
ちょうど12歳というと小学校を卒業して中学入学の頃ですよね。
そして部活を始める子も多いです。
部活でいっぱい活動して、
スポーツドリンクを飲んで、
帰宅して疲れて寝てしまう。
青春ですね。
しかし、生え変わったばかりの永久歯にとって、
虫歯が進んでしまう環境ばかりなのです。
①スポーツドリンクには虫歯の原因となる糖がたくさん含まれている
②寝ている時は唾液量が少なくなり、プラークが歯の表面に停滞しやすい
③保護者の仕上げ磨きをしなくなり、磨き残しに気づきづらい
④乳歯よりも永久歯は8本多く、奥歯に歯ブラシが届きづらい
⑤永久歯は大きく、歯の溝に磨き残しが残りやすい
⑥保護者と歯科医院へ定期検診に行く機会が減り、虫歯をチェックする機会も減る
これらの要素が虫歯を作ってしまうわけです。
ここで、
奥歯の痛みで受診された高校生の方の治療をご紹介します。
半年くらい前に別の病院で奥歯の虫歯治療をしたとのことでした。
下の歯に詰め物をした跡が見えます。
白いところがそうです。
ただ、その白い部分の周りに黒くなっているところが見えます。
ここが虫歯でした。
実際に見てみるとこんな感じです。
歯と歯の間に白い詰め物が見えますが、この奥で虫歯が進んでいるのです。
幼若永久歯は虫歯の進行が早いので、黒くなる前に穴が広がっていきます。
詰め物を削っている時の写真です。
虫歯が青く染まる薬液で確認しています。
詰め物の周りに虫歯が広がっているのがわかりますね。
元の詰め物はこれくらいだったのに、
虫歯を取り終えると、
こんなに穴が広がっていました。
これ以上虫歯が大きくなっていたら神経をとる治療も必要になっていたかもしれません。
虫歯の進行が早い上に黒くなりづらいので、
気づかないうちに大きくなっていることが多いのが幼若永久歯の虫歯の特徴です。
その後、コンポジットレジンという白い詰め物で穴を埋めて、
歯の形を作ります。
今回この歯の治療はこれでおしまいですが、
今後も定期的に虫歯のチェックを続けていきます。
いかがでしたか?
中学生、高校生になると部活や塾も忙しくなり、
歯科医院の定期検診が遠のいてしまう人もいるかもしれません。
ですが、虫歯で歯が痛くなってしまっては、
大事な試合や試験の時に困ることも出てきてしまいます。
そして、生えてきたばかりの永久歯は一生モノです。
大人になった後も、これからずっとその歯で食事を取るのです。
そのことをおうちでもよく話してあげてください。
治療期間 | 1日 |
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治療費 | 保険治療 |
治療のリスク | 定期的に受診する必要がある |