歯を0.5本抜く方法、知ってます?
桶川にある歯医者、アズ歯科桶川院の歯科医師、中村です。
親知らずが横向きで生えていて、その影響で隣の歯に虫歯ができてしまった時の治療についてお話します。
聞いたことがない方にとっては伝わりづらい内容かもしれませんが、
30代以上の方で同じようなことを言われた方は多いのではないでしょうか。
この患者さんもそうでした。
下の親知らずが横向きで生えている?埋まっている?
という状態です。
この矢印のところが虫歯になっているのです。
この歯は一度神経の治療をされているようですが、
隣の親知らずとの間が歯みがきできなかったせいで、虫歯がひろがり、大きな穴が空いています。
このまま虫歯が進めば、やがて歯全体が虫歯に食われて歯が折れたり、歯ぐきに炎症がひろがって痛みを生じます。
まずは虫歯がどれほど進んでいるのか知るために、一度銀歯を外して中を見てみます。
矢印の部分が親知らずが埋まっているところです。
この隣の銀歯の中で虫歯がひろがっているのです。
銀歯を外しました。
中の白くなっているところは土台の材料です。
この奥に虫歯がひろがっているため、この部分も除去します。
するとピンク色の材料が出てきました。
これはもともと神経があった穴に詰める材料で、以前の治療で詰められているものです。
その周りのドロドロしているところが虫歯であり、
残らず切削していく必要があります。
レントゲンで見た場合、この虫歯の下の白い部分が今見えたピンク色の材料です。
虫歯を切削している時の写真です。
親知らずとの間の炎症を起こした歯ぐきが露出しており、出血してきています。
これ以上奥の虫歯を削っていくとやがて骨が出てきます。
今回、虫歯の範囲があまりに深く、出血したり骨が見えてくるようでは、
虫歯を取り切った後、銀歯をかぶせることができません。
このままでは細菌が周りの骨にひろがり、歯周病が進行してしまいます。
そうなる前に、虫歯が進行してしまった根っこを抜かなければならない、という判断になります。
病状の説明、今後の治療方針の相談のため、一度セメントで穴を塞ぎます。
今回の治療計画です。
まず、虫歯の原因となった横向きの親知らずを抜きます。
その時に、虫歯が進行した歯も抜かなければならないのですが、
この歯は根が2つあり、手前側の根は問題ないので、こちらは残したいのです。
そこで、歯を分割し、わるくなっているほうの根だけを抜くことにしました。
これが抜いた後の写真です。
埋まっている親知らずを抜くために歯ぐきを切開したので、縫った糸が見えます。
傷が治るまでしばらく待ちます。
抜歯した創部が治った後の写真です。
まだ抜いた部分が少し凹んでいるのがわかります。
残した側の根は、今後は銀歯をかぶせて再び噛めるようにする必要があります。
そのため、このように土台の部分を作ります。
レントゲンだとこんな感じです。
あとは型をとって銀歯を作るわけですが、
実はこの時、一つ手前の歯にも虫歯があったのです。
なので今回はこの歯も一緒に虫歯治療をすることにしました。
銀歯を外して虫歯を切削し、土台を作ったところまでの写真です。
あとはこの2本の歯の型をとり、かぶせ物を作ります。
かぶせたところの写真です。
奥の分割した歯は銀歯、手前の歯は白いかぶせ物です。
この角度で見ると、奥の歯は分割したことがわかりやすいかと思います。
歯の大きさが半分くらいになっています。
実際に噛んだ状態はこんな感じです。
半分にした歯もちゃんと機能していますよね。
治療の前後を比較してみましょう。
いかがでしょうか。
今回のように、
埋まっている親知らずの影響で虫歯、もしくは歯周病になってしまい、
その手前の歯も抜歯した、
という方は実は少なくないのです。
残念ながら、
親知らずの抜歯を躊躇していることで、手前の歯も状態がわるくなることが多いのです。
同じようなことを歯科医院で宣告された方、
ご興味のある方はぜひ一度ご相談ください。
もしかしたら、その歯はまだ半分残せるかもしれません。
治療期間 | 3ヶ月 |
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治療費 | 保険診療 |
治療のリスク | 治療後に咬合力を強く負担させると折れる可能性がある |