根管治療は基本が大事
根管治療後、上手く改善せず悩まれている方が多くいらっしゃいます。
そういった方々がセカンドオピニオンで当院にも多く来院されます。
根管治療は根の中に菌が侵入することによって、内部の神経が感染してしまい、放置することによって膿が溜まったりしてしまうため、感染してしまった神経と菌を除去する治療です。
根の中はとても複雑な構造をしており1度菌の侵入が起こってしまうと、完全に菌をなくすことは難しくなります。
そのため、完治しなかったり、再発してしまう場合があります。
根管治療の成功率を上げるためには基本に則った治療と機材が大事だと考えます。
【当院で使用している機材】
①ラバーダム
感染してしまった歯を治すためには歯の内部の菌を取り除くだけではなく、菌を新たに内部に入れないことがとても重要になります。
そのために必要になるのがラバーダムです。
ラバーダムは専用のゴムのシートで治療する歯のみを露出させ、菌がたくさんある唾液の侵入を防ぎます。
また、治療で使用する器具や薬剤から口腔内を守る効果もあります。
②CT
根の内部は複雑なため二次元のレントゲンでは細部まで見ることはできません。
CTにて三次元の画像を撮影することで、根の形態や問題の出ている原因がわかる場合があります。
歯の部位、根の形によっては保険適用で撮影することができます。
③マイクロスコープ
根の中は光が入りづらく暗く、また細いので肉眼では正確に見ることは難しいと思います。マイクロスコープを使うことで、患部を3−24倍まで拡大して治療することができます。それにより、肉眼やルーペでは見えなかった細部まで確認することができるようになります。
④ニッケルチタンファイル
根の形はまっすぐなものも極端に曲がっているものもあります。
治療で使用する、ファイルと呼ばれる細い器具は一般的にステンレスでできています。
そのため、柔軟性が少なく曲がっている根だと上手く入らなったり、折れてしまうことがあります。
そうならないよう、ケースに合わせて柔軟性の高いニッケルチタンでできたファイルを使用しています。
⑤MTAセメント
封鎖性と殺菌性に優れたセメントで、根管治療の充填剤として使用することがあります。
アルカリ性の材料で内部で殺菌作用を維持することで、根の内部をきれいな状態に維持することができ、根管治療の成功率が上がります。
人体への親和性も高く、体への心配なく使用することができます。
MTAセメントは根管治療で使用する際は保険外治療となりますので、歯科医師に相談してみてください。
当院では、根管治療においてマイクロスコープ、ラバーダム、ニッケルチタンファイルなど専用の機材は治療の成功率に直結すると考えているため、保険内外問わず使用しています。
今回のケースです。
奥歯の治療のセカンドオピニオンで来院されました。
他院にて何回も通院し、根管治療しているが治らず終わらない、痛みが続いているとのことです。
同意を得てレントゲンを撮影します。
右から2番目の歯の根の先が黒くなっているのが分かると思います。
この部分に菌が溜まり、骨が弱くなっている状態です。
膿が溜まっていると表現する先生もいると思います。
またこの画像で先端が黒くなっている根の内部に入っている薬(レントゲンで白く見える部分)が周りの部分より太く入っているように見えます。
この場合、治療により内部がかなり削られており、根が薄くなっている可能性があります。
より詳細に見る必要があるためCTの撮影をお願いしました。
横から見た画像
右から2本目の根の周囲が黒いのがわかると思います。
上から見た画像
上から2つ目の歯の周囲が黒くなっています。
治療の必要性、根が薄くなっている部分は歯が中で割れたり、ヒビが入っている可能性を説明し治療に移行します。
マイクロスコープを使用します。
根の内部に以前の治療で使用した充填剤が残っているのが確認できます。
この部分が細菌の温床になっている可能性もあるため、除去しながら内部の消毒、洗浄をしていきます。
除去が終わった状態です。
治療は問題なく進みましたが、根が薄くなっており、部分的に穴が空いている可能性が考えられました。
それが原因で完治しない可能性も考えられたため、MTAセメントの使用をお勧めしました。
MTAセメントは封鎖性が高いため、小さな穴や亀裂がある場合そこを封鎖し、菌の侵入を抑えることで改善してくれる場合があります。
しかし、使用したことで必ず治ると保証できるものではありません。
説明後、同意を得たため使用します。
治療後のレントゲン写真です。
治療前後で比較します。
根の周囲の黒くなっていた部分の骨が再生し、白くなってきているのがわかると思います。
症状もなくなり、患者さんにはとても喜んでいただけました。
今回改善することはできましたが、根管治療を受けた歯は強度がとても落ちているため、今後割れてしまうリスクがあります。
そういったリスクを出来るだけ回避するため、定期的に噛み合わせなどを歯科医院の検診でチェックしていく必要があると考えます。
MTAセメントは万能ではなく、充填剤の1種でしかありません。
それ以前の根管治療を基本に則りしっかり行うことで成功する確率が上がります。
ケースに合わせて、治療方法を相談しながら診療にあたっております。
アズ歯科桶川院までお気軽にご相談ください。
治療期間 | 2ヶ月 |
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治療費 | ¥50,000 + tax |
治療のリスク | 歯が割れてしまう可能性がある |