レントゲン検査は大切
歯科の健診などで口の中を診てもらうことがあると思います。
歯科医師が虫歯などの診断をする場合、
実際口の中に直接虫歯が露出していて見つけられるケースと
詰め物や被せ物の下に隠れていてレントゲンなどで見つけられるケースがあります。
現在では、口の中の診査でルーペやマイクロスコープ、ライトなどの視野を拡大ができる器具が増えています。
しかし、治療してある部分の中や骨の状態などはレントゲンでないと確認できません。
今回のケースです。
上の奥歯が冷たいもので痛むことを主訴に来院されました。
学校の歯科健診では何も問題がなかったとのことです。
中学生の男の子です。
まず口の中を見てみます。
一番奥の歯に症状があるとのことです。
以前に治療の経験がある歯で白い樹脂で修復されています。
表面上は虫歯は確認できません。
レントゲンを撮影し、より細かく調べます。
上の赤丸の部分は詰めてある樹脂の下に空洞、もしくは虫歯がある可能性があります。
治療の必要性を説明し、樹脂を除去します。
除去してみると内面が虫歯になっています。
虫歯を全て除去し、神経を守る薬剤を使用後、樹脂で再度修復していきます。
治療はここで一旦終了になりますが、神経の近くまで虫歯が進んでいた場合、神経自体が菌に感染してしまい、後日神経の治療が必要になる場合があります。
そのため、しばらくは経過観察が必要になります。
この状態でずっと何も起こらないこともありますが、今回は半年ほど経過したのち、歯茎が腫れたと来院されました。
検査にて神経が死んでしまっているのが確認できたため、応急的に根管治療を開始しました。
根の形と周囲の骨の状況を確認するため、CTを撮影させていただきました。
上の図の赤丸の部分は根の周囲が黒くなっているのが分かると思います。
これは菌の感染により周囲の骨が溶けてしまっている状態です。
子供の根管治療の場合、年齢によっては根が完成しておらず、根管治療の難易度が上がることがあります。
今回は幸いにも根は完成しており、通常の根管治療で対応可能と判断しました。
マイクロスコープ、ラバーダムを使用し丁寧に根管治療を行います。
治療後のレントゲン写真です。
治療前と比較します。
根の周囲の黒かった部分が小さくなってきているのが分かると思います。
これはこの部分に骨が再生してきている状態です。
骨の溶けている範囲が広く難易度の高い治療でしたが、しっかり改善することができました。
今回のように目で見ただけでは問題ないように思えても、レントゲンにより虫歯を見つけることができる場合があります。
また、骨の状態をCTで確認することで、根の形や根管治療の状態の判断ができます。
患者さんによってはレントゲンの撮影を好まない方もいらっしゃいますが、現在のレントゲン撮影自体でのX線などの被曝量は少なく、防護服も使用しての撮影になるため健康への影響も心配ありません。
撮影するかどうかは最終的に患者さんの希望になりますが、正確な診断と治療方針の決定、また虫歯や周囲骨の状態のチェックなどにレントゲン撮影は不可欠だと考えます。
小児から高齢の方まで、一般治療から矯正治療、外科治療まで様々なケースに対応しております。
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治療期間 | 3ヶ月 |
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治療費 | 保険診療 |
治療のリスク | 治療した部分が欠けてしまう可能性がある
細菌の感染により再度根管治療が必要になる可能性がある |